夢は親友
私の仲の良い友人の一人が冗談めかして「新しい髪型にしたときには必ずあなたに見せることにしているの」と言ったことがあります。それは私がその髪型が似合っているかどうか正直に言うからだそうです。もちろん彼女が言いたかったのは髪型についてだけでなく、その他のことでも正直であることでしょう。それを聞いて私は感動しました。と言うのも彼女は耳障りな意見についても耳を傾けるほど私を信頼してくれると感じたからです。私は普段は礼儀正しく、共感性の高い方だと思います。 でも正直な意見を伝えることが親友のためになると思い、相手にもそれを聞く準備ができていると感じた時は、私は正直でありたいと思います。
親友には色々な定義があるでしょうが、一つはその人の幸せを第一に思える人だと思います。そんな親友がいる人はとても幸運だと思います。ただし親友は人間の形である必要はないのです。エリス(2019)は、「夢は耳に痛いことも正直に話してくれる、そのとても良い友人のようなものです」(p.13)と述べています。これは夢のとても美しいフレーミングだと思います。夢が新しい髪型にフィードバックすることはあまりないと思いますが、「もう少しこういうことを試してみたら?」と人生の新しい方向性を正直に示してくれるからです。
私の例をお話ししましょう。今年の初めに私はある教授の講義を受けている夢を見ました。その教授はとても知的な「教授っぽい」人でしたが、私はクラスの中で意見が違うことをはっきりと伝えていました。私は目覚めた後、その教授に自分の意見を伝えた場面が気になりました。権威に挑戦することは私らしくないことだったからです。私は前に書いたように礼儀正しく、どちらかといえば大きなグループでの発言には慎重な方です。夢の中の教授は白髪の白人男性で、眼鏡をかけ、ツイードのジャケットを来ており、アメリカの教授のステレオタイプのような人でした。特に権威的な感じはしませんでしたが、自分の知識と知性に自信を持っていてリラックスしていました。
その夢について色々思いを巡らすと、私は、教授に挑戦したように自分の考えや思いを表現したらいいし、教授のように自分の知性にもっと自信を持てばいいと思い至りました。私は長年、ブログや本を書きたいと思っていましたが、自分の考えは価値がないように思い先延ばしにしていました。ところが、この夢を見たのと同じ時期に、書いたり、教えたりを促すような夢を立て続けに見たのです。つまり私の親友である夢が、「もっと自信を持って自分の意見を表現したら?」と伝えてくれたのです。この夏、私はようやく私の親友からのメッセージを受け入れ、書くことを始め、教えることに戻りました。新しい試みに慣れずにオロオロしていますが、この道は探求する価値があるとわかっています。何より、私がうまくできずに悩んでいるときも、親友がいつもそばにいてくれるし、必要な時はまた夢を通じてメッセージを伝えてくれると分かっているのが心強いです。
Reference:
Ellis, L. (2019). A clinician’s guide to dream therapy: Implementing simple and effective dreamwork. Routledge.